数学の素、かけ算の素

6という数は、2×3=6だね。

これは面白いよね。

かけ算で、6という数を、2と3で表せたんだ。

足し算だけでは、

6=2+2+2

とか、

6=3+3

とかで、

2+3=5

だし、

2+2+3=7

なので、6を2と3で表せないよね。

これはなんでか、何か理論があるかな。

まあ、足し算の次に、かけ算を習うけど、

この二つは、とっても違うんだね。

かけ算だけの世界というのがあったとして、

1とか2とか、100とか1000とか、

いろんな数を別の方法で表そうとすると、

うまくいかないものがあるんだ。

さっきの6は、2と3が出てきたけど、

2は、かけ算なら、1×2としか表せないよね。

3も、1×3だよね。

もちろん、1は1を何個かけても1で、

2=1×1×1×…×1×2

とやっても、それはそれでいいけど、

特にそれがうれしいわけじゃない。

1をかけることは、特に何もかけてないとも、

いえるからね。

だから、2とか3とかの、

1×○とだけしか表せない数は、

6のような数とは違って、自然数の範囲だと、

それ以上分解できないかけ算の素だから、

そういうのを素数(ソスウ)というね。

数が素数でなければ、別の素数どうしの

かけ算で表せるから、

素数でない数は、別の素数で割り切れるって

ことだよね。

割り切れるってのは、

余りなく、割り算ができちゃうことだね。

6は、2とか、3で、余りなく割り切れる、

というわけだね。

でね、

かけ算の素なのだから、素数の個数は、

そんなに大きくなくても、いいような気も

まあするけど、でも、素数は無限個あるんだ。

それは、昔から証明されてて、

数学が本格的になってからも、

大事にされてる性質なんだよ。

証明ってのは、数学の論理で

本当にそれが正しいことか解明することだね。

昔の証明は簡単で、

仮に素数に最大のものがあったとするね。

それより小さい素数はあるけど、

それより大きいものはないと仮に、思うんだ。

そして、その限られた素数たちを一つずつ、

全部かけてみよう。

そうやってできた数は、必ずどれかの素数で

割り切れるよね。

だから、素数じゃない。

例えば、最大の素数が7だとして、

それまでの素数は、2,3,5だから、

2×3×5×7

をつくってみると、それは、

当たり前だけど、

2,3,5,7のどれかで割り切れるね。

そこで、それに1を足してみよう。

2×3×5×7+1

のようなものをつくるってこと。

それは、それまでの素数で割ると、

必ず1余ることになるね。

もし、それが素数だったらいいんだけど、

可能性としては、素数でなくて、

何かで割り切れることもあり得ると考えるんだ。

すると、その割り切った数ってのは、

仮に仮定していた最大の素数までにはない、

新しい素数だよね。

だから、新しい素数は、最大を超えちゃう。

ってことは、素数に最大のものがないって、

ことになるね!

つまり、どんなものより大きい素数があるので、

素数の個数は無限個なのでした。

いまの例では、

2×3×5×7+1=210+1=211

だけど、これは、素数なんだ。

だから、7までしか素数がないのと違って、

7を超える211という素数がありますよ、

ということだね。

じゃあ、11までと仮定したら、

2×3×5×7×11+1=2310+1=2311

これも新しい素数。

では、13までと仮定したなら、

2×3×5×7×11×13+1=30030+1=30031

これも新しい素数かな?と思うけど、実は、

30031=59×509

なので、素数じゃあない。

でも、13までしか素数がないと仮に思ったけど、

そうじゃなくて、59とか509とかいう、

13を超える素数が出てきたってわけだよね。

こういうふうな証明が、

大昔に発見されていたということなのだけど、

すごいことだよね。

かけ算を使うなら、素数はとっても大事。

でもね、足し算だけの世界なら、

1を足していけば、

どんな数も作れちゃうんだけどね!

この二つの世界をつなげる話は、

数学の世界でも、最先端の研究なんだよ。